たゆまぬ努力と細心のケア
「大地をこよなく愛し、大地を必要とする父を見て育ちました。作業を手伝うスタッフからも、自分たちのボスが、自分たちと並んで、自分たちと同じ土を実際に手で触れながら作業する姿を見ていると、仕事に対して前向きになれると聞かされてきました。自然はもちろん、人に対する敬意のあらわれです」
自然を愛し、自然に寄り添う
シュヴァイツァー家は、自然環境、消費者、そして作業スタッフに配慮して、レゾネ(合理的)農法に則ったぶどう栽培に取り組んでいます。
細部にいたるまでぶどう畑を観察し、適切なケアを心掛けています。垣根の列間および樹木間の耕耘、芽かき、脇芽除去、除葉、摘房... 畑では適時、多種多様な作業を実施しています
その他、発がん性・変異原性・生殖毒性(CMR)物質を使用した製品を撤廃し、ボトリティスの抗菌薬としては粘土ベースの自然農薬を噴霧。害虫防除は性フェロモン剤の使用に切り替えています。
「自然は常に変化します。ぶどうが最適な熟度を得るまで、たっぷりとアロマを含むまで、最後まで自然に寄り添う姿勢を貫いています」
アプソリュ... シャトー・ブルデュー珠玉の逸品
2016年、息子ふたりがシャトーの運営に加わりました。新たな歴史のスタートを記念して、「アプソリュ(Absolu)」、シャトー・ブルデューの最新キュヴェワインが誕生しました。テロワールの粋を極めたハイクラス・ワインです。
真南へと広がる樹齢35年のぶどう畑。栽培には細心のケアを常時心掛けています。耕耘、収量管理、手作業での除葉、選果... いずれも「グラン・ヴァン・ド・ボルドー」と称するに相応しい品質を保証するための作業です。
「ポテンシャルあふれる40ヘクタールのぶどう畑。その中から7−8ヘクタールをさらに厳選。区画をさらに細分化した、極小区画ごとのワインづくりです」リュック・シュヴァイツァー
精緻を極めた、妥協なきワインづくり
... 剪定から除葉まで
剪定作業(ギュイヨ・ドゥーブル採用)が完了すると、春の到来を待って芽かき作業を行ないます。キュヴェワイン「アプソリュ」用の区画では、1本の長梢につき3−4個の芽のみを残します。このように意図的に収量を抑えることで、さらに凝縮した風味のぶどうに仕上げていきます。
その後、除葉がスタートします。日照が弱い時間にはたっぷりと光がぶどうに当たるように。逆に日照が強すぎる場合は光からぶどうを保護するよう調整します。
... 収穫の時を迎えて
収穫したぶどうは、粒の直径、重さ、色にしたがって精選します。シャトー・ブルデューでは光センサー式選果機を導入しています。
... たえず進化を遂げる醸造設備
区画ごと厳選ぶどうのみを使用したハイレベルな醸造を目指して、生産全体に小型のステンレスタンクを採用しています。すべて温度制御システム完備で、発酵時から緻密な温度管理が可能です。
機械化だけでは行き届かない部分は、これまでどおり手作業で調整しています」
とにかく穏やかな抽出
入念に精選されたぶどうはキュヴェワイン専用の貯蔵庫へと運び込まれ、フレンチオークの新樽内で18ヶ月育成・熟成されます。また、一部のワインには樽会社「カンテサンス社」特製の樽「ペルル」を使用しています。同社の円錐卵型の樽内では果帽と果汁の最適な接触が促進され、スムーズな発酵が得られます。
「醸造を小分けに行なうということは、栽培の段階から区画ごとの入念な管理が可能となり、その結果、ワインづくりの精緻さに格段の向上がみられます」
メルロ(79 %)、カベルネ・ソーヴィニヨン(17 %)、マルベック(4 %)... 「アプソリュ」はその濃醇な風味が魅力で、熟した黒果実がたっぷりと香ります。存在感十分なストラクチュア、絹のようになめらかなタンニン、そして後味の長さが印象的なワインです。まさにシュバイツァー家の自信作。このワインの誕生にあたっては、エリック・バルドン氏とクリスチャン・ヴェイリ氏、ふたりのエノロジストから貴重なサポートをいただいています。
「アプソリュ(Absolu)は、ここでの25年にわたるワインづくりの結晶であり、リシャールとリュドヴィック、ふたりの息子たちがシャトー運営に加わったことを記念するものでもあります」